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 ぶらり歩き   
30. 伊豆半島を歩く (7)   平成24年4月21日
 昨晩から民宿の温泉に浸かり、筋肉の疲れもすっかりとれて二日目の体調は万全となる。天気も雲の多い空模様であるが、雨の心配なさそうである。Sさんはひとり早起きして七滝を散歩で一巡りするが、膝の具合を考慮して今日もバスで別行動し、下田駅で落ち合うことにする。

 昨日の雨で濡れた靴もほぼ乾き、気分一新してSさんの見送りを受けてKさんと一緒に下田に向けて出発する。Sさんの薦めに従って、ウォーミングアップを兼ねて大滝出合滝カニ滝初景滝(しょけいだる)を見物する。
 河津七滝
はそれら4つの滝のほか、ヘビ滝エビ滝釜滝からなる。大滝は30mの高さから流れ落ちる河津七滝最大の高さを誇る滝である。次の出合滝本谷川荻ノ入川の二つの流れが合流することから名づけられ、河津川の起点(写真24)となっている。出合滝からカニ滝に行く途中にある開店準備をはじめたばかりの土産物店のご主人から、初景滝から先は通行止めとなっているが、折角来たのだから釜滝までに行くように奨められる。カニ滝を過ぎて初景滝までやってくると、滝を背にして立つ踊子と私のブロンズ像(写真25)が目に入ってくる。ここが踊子の舞台であることが自然に胸に染込んでくる。ヘビ滝に向かう道は登りの狭い道であるが、一部に落石があり、通行止めの柵が設けられている。これから下田までの道程を考えて、ここで無理をして不測の事故でも起こしてはまずいと自重する。 

 もと来た道を戻り、土産物店、民宿を通り過ぎ、河津七滝ループ橋を上に見ながら、旧下田街道の道に出る。下田街道は三島大社の大鳥居を起点として、大仁湯ヶ島天城峠梨本小鍋峠箕作河内を経て下田に至る約70kmの昔からの幹線道である。

 民宿のご主人に教えてもらったつり橋を目指して旧道らしい道を歩く。旧道は踊子道(写真26)と名づけられ、春とはいえ両側に落ち葉が吹き溜り、人の往来はなく昨日の雨のせいか全体に湿っぽい。右側の斜面に地蔵像が心細げ気に祀られている。踊子道の右下に豊かな水量で流れる河津川が現れ、川に向かって急な坂道を下ると、木製のつり橋(写真27)に至る。歩く周期に合わせてつり橋は上下に小気味良く振動し、中央部で河津川の上流を眺めると、常緑樹の濃い緑と新緑の若々しい緑が調和してとても美しい眺望を提供してくれる。清々しい気分を満喫する。そして、川底には大小無数の岩が不規則に並び、それを縫って豊かに流れている。 
 

写真24 河津川起点

写真25 初景滝と踊子像

写真26 踊子道

写真27 つり橋 

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